あなたのクラブでは、VO2maxを測定していますか?
わが国では新型コロナウィルスのオミクロン株が猛威をふるい1月の全国の感染者が10万人を超えました。2月の中旬以降は第6派が少しおさまる気配が見えてきているように感じますが、4月になってもまだどのようになるかは、はっきりと見通せない状況が続いています。
各クラブにヒアリングしたところ、フィットネスクラブでは1月の新春キャンペーンが比較的うまくいっていたクラブと第6派のあおりをまともに受けたクラブとが、混在しているようです。
広告をコロナ前の150%~300%の予算をかけてPRに力を入れたクラブは集客が出来ているように思います。
今年に入りCOVID-19と身体活動との関連を示すエビデンスについて掲出させていただきました。その後も世界では盛んに身体活動が大切であるという証拠が示され続けています。
前回掲出したCRF〔cardiorespiratory fitness(心肺フィットネス)=VO2max〕と身体活動との関連が複数示されていましたが、皆さんのクラブではCRF(VO2max)についてはこのところどのように扱われていますか?
一時はコンビのエアロバイクというエルゴメーターがどのクラブにも多数置かれていてどのクラブでも簡単に間接的なVO2maxが測定されていました。しかし時の流れと共にコンビのエアロバイクはなくなりそれに合わせるようにVO2maxという体力要素を測定されなくなりました。しかし、VO2maxの重要性が低くなってきた訳ではありません。各クラブでの対応やフィットネス備品としての需要が低下していったように思われます。
世界のVO2max(最大酸素摂取量)と感染リスクの最新研究
今回新たに心肺フィットネス(CRF)とCOVID-19の関連や身体活動促進のメインの指標としてトリアージュ〔トリアージ(英語: triage、)とは、一般的には、重要で最初に扱うべき者を選別(および決定)することを言う 。特に、患者の重症度に基づいて、医療・治療の優先度を決定して選別を行うこと〕に使用されるとの情報も出てきており、改めてVO2maxの重要性が見直されることになるのではないかと思っています。このところ示されている論文は下記のとおりです。
臨床に関するトリアージツールの可能性
- 英国は「高リスク」の患者を保護し、社会的距離を実施しているため、患者は身体活動レベルを大幅に低下させるリスクがあります。予め最大酸素摂取量(VO 2 max)を調査し、COVID-19感染前に患者を「事前調整」するための介入を行い、リスク層別トリアージツールとしての最大酸素摂取量(VO 2 max)の役割を評価しました。運動プログラムは、身体活動レベルを維持し、体調不良を防ぐために使用でき、VO 2 maxは、COVID-19の発生時に臨床的に関連するトリアージツールとして使用される可能性があると結論付けています。 ( Irfan Ahmed – Clinical Medicine, 2020)
心肺フィットネス(CRF)と重症化リスク
- スウェーデンの大規模な症例対照研究です。心肺フィットネス(CRF)と生活習慣がCOVID-19の重症(入院n=547、集中治療n=172、死亡n=138)に与える影響を検討しました。CRFが低いこと(OR=0.98, 0.97-0.998)、BMI が高いこと(OR = 1.09, 1.06 -1.12)、ウエスト周囲径が長いこと(OR = 1.04, 1.02-1.06)、喫煙していないこと(OR = 0.60, 0.41-0.89)、ストレスレベルが高いこと(OR = 1.36, 1.001- 1.84)はCOVID-19の重症と関連した。また、CRF(心肺フィットネス)は肥満や高血圧による重症リスクを減少させる可能性が示唆された。(Ekblom-Bak E, et al. 2021 Oct )
国際宇宙ステーション(ISS)での研究
- 身体的に活動的な個人は、隔離および閉じ込めの期間中であっても、潜在的なウイルス感染に対してより良い制御を発揮します。最近の研究では、心肺フィットネスと骨格筋の持久力のレベルが高い宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)への6か月のミッション中に、ウイルスを再活性化する可能性が約40%低いことが示されました。 ISSでフィットネスレベルを維持することができました(Agha et al。、2020)。ウイルスを再活性化した宇宙飛行士でさえ、ウイルスDNAのコピーは、より心肺フィットネスと骨格筋の持久力のレベルが高い宇宙飛行士の方が少なく、そうでない宇宙飛行士よりも伝染性が低いことを示しています。潜在的なウイルスの再活性化は、免疫力の低下の特徴であり、この調査では、ISSへの閉じ込めの結果としての隔離と非活動に関連するストレッサーが原因であると考えられます。
心肺フィットネス(CRF)と死亡リスクの関係
- 心肺フィットネス(CRF)を使用して、重度のCOVID-19感染のリスクが高い人を特定できることが示唆されている。この研究の目的は、CRFがCOVID-19で陽性または死亡と独立して関連しているかどうかを調べること。CRFはCOVID-19陽性の検査と有意に関連していませんでしたが、CRFが高いこととCOVID-19による死亡リスクの低下との間に有意な量反応関係が観察されました。これは、CRFの高いひとがコロナウイルスを発症した場合にCOVID-19による死亡を防ぐ可能性があることを示唆しています。 (Rebecca A G Christensen. 2021. 5.)
以上のように、VO2max測定することは、新型コロナウイルスの感染リスクの把握や予防のための有用であるとしており、これをフィットネスクラブで測定することは、とても意義のあることです。
もともと、VO2maxは、厚生労働省が策定した運動の指針2006には、必要な運動のための指標として、性別年代別の基準値として示されており、また運動の指針2013にも、わかりやすくするために、VO2maxとメッツとの併記された形で、簡素化して記載されています。
感染リスクに関連する基準値と改善プログラム
40~59歳の男性は、35ml/kg/分、女性は30 ml/kg/分、60歳以上の男性32ml/kg/分、女性は26 ml/kg/分が、基準値であり、それよりも低いと感染リスクや死亡リスクが低くなっている可能性があります。コロナによる感染リスクや死亡リスクは、基礎疾患といわれるいろいろな疾患ごとにCRFの基準値とされる値があると思われるが、その関連についてはまだ明らかになっていないところがあると思われます。〔疾病との関連では、18.7ml/kg・分以下だと、体力的に不足しているため、抵抗力が低く、一般的に基礎疾患があるという尺度になるかもしれません。(M A West et.al. Br J Surg. 2016 May)〕
どの程度の有酸素運動を行うことで、COVID-19を予防するためのプログラムになるかということについては、サイクリングやウォーキングの形のプログラムで、20〜60分間の有酸素運動である必要があります。55%-80%VO2maxまたは60%-80%の強度最大心拍数のプログラムで、週に2〜3回のセッションを繰り返し行うことが必要です。こうすることで免疫機能を安全に強化する可能性があります。(M Alawna, et.al. Eur. Rev. Med. Pharmacol. Sci, 2020)
フィットネスでコロナ禍から社会を救いましょう。
フィットネスクラブでは、再度VO2maxの測定できる環境と心肺フィットネスを向上させられるプログラムの提供をできるようにして、基本的な考え方を構築し、帳票類の整備、スタッフの方々への教育や会員の方々への啓もう活動などを積極的に行うことで、フィットネスクラブでの運動は、コロナ感染リスクを下げ、ワクチンの効きをよくすることを強くアピールして、クラブに来ていただくことを促さないといけません。
また引き続きアピールする点としては、『フィットネスクラブは最高レベルの安全性を確保している』ということを理解してもらうことも大切です。
コロナ禍でクラブがアピールしなければいけないポイント
- 有酸素運動は、コロナ感染リスクを下げ、ワクチンの効きをよくする。
- フィットネスクラブは最高レベルの安全性を確保して運営。
- パーソナル対応を大切にし、とにかく、来館を促す!!!
最新のVO2max測定バイク
VO2maxの測定というと、一般的には全力でキツイ運動をしながら測定するというイメージがつきやすいですが、プロフィットジャパンでは、中高年者でも無理なくできる、最新のVO2maxの測定バイクのご提案や、クラブ運営に取り入れるコンサルティングをさせて頂いております。
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