6月に発表された、ノルウェーのフィットネスクラブの会員の利用頻度の多寡と継続に関する興味深い論文が掲載されました。
「Motives and barriers to initiation and sustained exercise adherence in a fitness club setting – a one-year follow-up study.」(フィットネスクラブ会員の入会時および継続時における運動習慣と促進要因・阻害要因との関連について)【Christina Gjestvang , Frank Abrahamsen , Trine Stensrud , Lene A H Haakstad Scand J Med Sci Sports. 2020 Jun 3.〔IF=3.63〕】
この研究の目的は、
- FC会員における運動習慣者(週2回以上)、非運動習慣者(週2回未満)の分布を明らかにする。
- FC会員における運動促進要因/阻害要因を明らかにする。
- 運動習慣者と非運動習慣者における運動促進要因・阻害要因を比較検討する。
ことを目的として研究されています。
研究の方法は、ノルウェーのフィットネスクラブの新規会員 250人を対象としてアンケートを(入会時、3か月後、6か月後、12か月後)実施した。
調査項目は、運動の頻度と促進要因、阻害要因について自記式質問紙により調査した。
頻度は、〔週2回以上(運動習慣者)又は、週2回未満。(非運動習慣者)〕とに分けて分析
運動の促進要因、阻害要因
〇運動をする目的は、〔Motives(促進要因)〕
・ Stress Management(ストレス解消)
- Enjoyment (楽しみ)
- Challenge (チャレンジ)
- Weight Management (体重管理)
- Appearance。 (外見、美容)
- Strength&Endurerance (筋力および持久力)
運動しないときの理由は、〔Barriers(阻害要因)〕
・Priority (優先順位)
・Practical (実際の問題、距離等)
・Health‐related (健康問題)
・Affective‐cognitive (感情認知)
結果
会員250人のうち、79.9%が12ヶ月後にもFC会員であった。 〔退会は、20.1%〕
37.0%が全調査において運動習慣ありであった。 63.0%は非運動習慣者であった。
〔週二回以上の運動を1年間継続できた会員は、37%、63%は、途中で、週二回は継続できなかった、
途中で運動をやめた〕
非運動習慣者の多くは途中で運動をやめていたが、すべての調査で運動をしていない者は13.8%であった。
運動習慣者では男性、肥満、高齢、就労ありの者が有意に多かった。
全体よりも非運動習慣者における運動の優先度得点は低かった。
運動習慣者における楽しさと挑戦性の得点は、いずれの調査時点においても非運動習慣者より高かった。
入会からの心理的因子の推移〔全体の傾向〕
入会時~12か月後に得点が変化した項目
・筋力持久力の向上〔3、6か月は向上、12か月は低下〕
・体重管理 〔3、6か月は向上、12か月は低下〕
・美容・外見 〔3、6か月は向上、12か月は低下〕
・楽しさ 〔3、6か月は向上、12か月は低下〕
・目標への挑戦 〔3、6、12か月向上〕
・ストレス発散 〔3、6、12か月向上〕
よって、クラブでは、楽しさの演出と、一年を通してチャレンジできるプログラムやイベントの提供が不可欠だということが改めて分かりました。
楽しさを感じていただくには、クラブ側で提供するゲーム性のあるイベントやマスゲームなどのエンターテインメントの内容や一人で行うエクササイズよりも、グループや集団で行うエクササイズの方が、継続することが先行研究ではわかっているので、積極的に、そういう環境づくりが必要です。
すべての期間で運動中止と回答した会員は13.8%、多くの会員は途中でドロップアウトしまた復活して利用していました。
最も一般的な阻害要因は優先順位が低い(運動する時間を見つけるなどの対応が必要)であることがわかりました。したがって、フィットネスクラブのスタッフが、計画(運動時間を自分のスケジュールで作成する)や日常生活に運動を組み込む方法など、定期的な運動方法についてメンバーに向けて実践的な方法を促進するためのコーチングが不可欠です。
■株式会社プロフィットジャパンのfacebookはこちら
■株式会社プロフィットジャパンのtwitterはこちら