VRCとは血流制限トレーニング(軽負荷・短時間で高い効果を出す)を行うために、
開発されたものですが、もう一つ、VRCの代名詞と言っていいケアのプログラムがあります。
血行が悪くなると、身体に栄養が運べず筋肉が硬くなり、筋肉や関節が痛くなったり、
身体が冷えたり、自律神経が乱れて寝付けなくなったりします。
最悪は血管が硬くなって、そこから高血圧や動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの血管の病気にもつながってきます。
VRCの血行促進による身体の冷え、むくみ、膝痛、腰痛、肩こり、首の痛み、血管の柔軟性向上など、筋肉や関節の痛みや冷えとむくみの解消に定評があり、接骨院などの治療系の一部の導入先では、トレーニングはやらずにケアのプログラムのみをやっているところもあります。
そのケアのプログラムとは、全身の血行を促進させるプログラムで『駆血』といいます。
駆血とは、出血をしていない状態で血液を制限することで、元々は開発に携わった整形外科医師より、手術後に止血を開放すると皮膚が赤く発赤して血流が増加しているところからヒントを得ています。
これを書いている私自身も、過去に首を痛めてストレートネックと診断されてから、腕の駆血のプログラムをやった翌日には、痛みで回せなかった首が左右に動かすことができて、驚いたことがあります。
座ったり寝たままできるので、トレーニングに比べるとお客さんが楽に受けられ、体感と効果が高いので、VRCでも1番人気のあるプログラムです。
駆血の方法
駆血とは身体の内因性保護システムに働きかける方法で、腕または脚に血流制限と解放を数回繰り返して血行を促進させます。
例えば、脚に一定時間の血流制限をして、あえて血行が悪い状態を作ります。
血行不良の状態になると、身体は『血液を流さなきゃ!!』と、血管を拡張させて血流を流そうとしまます。
血管が拡張したところで圧を開放して、一気に血液を流すと、『ジュワっ』と脚が熱くなるほど血流が増加して、筋肉が活性化して膝の痛みや冷え、むくみが解消されます。
この時の『ジュワッ』とする感覚は、駆血ならではで気持ちがよく、脚や肩が軽くなるので、体験すると殆どの人がまたリピートでやりたくなります。
首の痛みの場合は、首に近い腕に駆血を行うことで、首や肩回りの血行が良くなります。
駆血のメカニズム
駆血はVRCの開発段階では元々、手術後の止血解放時に血管が拡張する現象からヒントを得ていますが、もう一つ、参考にしているものとして、RIPC(遠隔虚血プレコンディショニング)という、心疾患の手術前や救急対応などで使う手法も参考にしています。
各国で大規模な研究も行われている方法ですが、デンマークで行われた実験(腕に血圧計を巻いて200mhgの圧力で5分虚血、5分解放を数回繰り返す)では約300人の追跡調査を行い、心筋梗塞による死亡と再発を多数、防止できたという結果が出ています。
この理由については、色々な憶測がありますが、一つには腕の血流を制限することで腕が低酸素になり、一酸化窒素や様々なホルモンが分泌して低酸素部位に血液を早急に流そうとするためではないか、と言われています。
実際に、VRCを導入した接骨院や治療院では、怪我の治療や弱った筋肉を活性化させるのにかなり効果があり、治療補助として必ず行うという接骨院さんが多くいます。
リハビリでも、車いす生活を送っていた90代の女性が駆血により筋肉を温めてリハビリをしていたところ、約2ヶ月半ほどで歩いて出かけられるようになり、現在では自転車に乗れる程、回復した例もあります。
フィットネスクラブではパーソナルトレーニング後の筋肉痛対策や、疲労回復などリラクゼーションとして使われています。
導入先のクラブでは、これまで体調が悪いと来なかったお客様も体調の改善のために、来るようになり、結果、来店が増えるという仕組みをつくることができます。
やり方も非常に簡単で安全なので、トレーニングばかりを指導していたトレーナーも受け入れやすいこともあるようです。
駆血のポイント
駆血ではVRCトレーニングと比べると強く加圧する必要があります。
また、ゆっくりではなく、急速に圧迫しなければ駆血の効果がありません。
ゆっくりと緩く圧迫すると、身体の保護機能が働かず意味のないものになり、独特の『ジュワッ』という血液が流れる感覚も無くなってしまいます。
しかし、強すぎると筋肉や神経を圧迫しすぎて傷める可能性もあります。
そこで、VRCトレーニングでも使用していた圧力具合を測る脈動表示装置を使って、ほどよく動脈を制限する適正圧を探ります。
この駆血はトレーニングと比べても特に強く締めるため、この脈動表示装置が必須になります。
この適正圧を正確に測ることが、VRCの駆血の強みで、安全性と高い効果を出すことができます。
また、トレーニングよりきつく締めるため、柔らかくて薄い素材でなければ、締めた時に痛みがでてしまいます。
強い圧迫と正確な圧測定をVRCの脈動表示装置とカフを使うことで、駆血が実現可能となりました。
なかなか、言葉では伝わらない部分もありますので、体験されることをお勧めいたします。