お知らせ

いろいろな要因によって、新型コロナウイルスの新規感染者が減っています。確かに、ワクチンの2回接種者が全国民の75%を超えてきていることによる効果は大きいのかもしれません。ただ、専門家の一致した意見として、第6波が来る可能性が高くそのために、ワクチンの第3回目の接種の是非や対象者の選定、接種のタイミングなどの議論が進められています。

また、世界の国々の研究者は、これまでの知見に基づいて何とかコロナを克服する手立てを考えようといろいろ苦心されています。

イギリスでは、『Living with COVID-19: ’Exercise is medicine.’』〔COVID-19と共に生きる:「運動はそのための薬です。」〕というメッセージが出され、複数の論文でコロナによるパンデミック時の疾病負荷の軽減における身体活動(PA)の役割にはほとんど焦点が当てられていないとして、警鐘を鳴らしています。※1.2

また、いろいろなところで、「COVID-19と身体活動、ワクチンについて」や「COVID-19とフィットネス・身体活動について」の論文がいくつか、出されていますので、ご紹介させていただきます。

一般集団における免疫系、ワクチン接種および市中感染症のリスクに対する身体活動の影響:系統的レビューおよびメタ分析では、中等度以上の身体活動に定期的に行うことは、市中感染症のリスクを31%の低減、および感染症による死亡リスクの37%の低減することにつながります。

・ワクチン接種前の20週間、週に約150分の中程度以上の身体活動を定期的に行うことで、ワクチンによる抗体の濃度を向上させます。

・中程度以上の身体活動に定期的に行うことは、粘膜免疫バリア(唾液IgA免疫グロブリン)の強度を増加させ、免疫細胞(CD4 T細胞)の濃度が高まり、免疫力が向上した。 ※3. (Chastin SFM, et al. 2021.05)

以前、徴兵された1,559,187名のスウェーデン人男性を追跡したところ、徴兵時、心肺持久力が高い群は、最も低い群と比較して、COVID-19の入院(n=2,006)のオッズ比が0.76(95%CI: 0.67-0.85)、集中治療(n=445)のオッズ比が0.61(0.48~0.78)、死亡(n=149)のオッズ比が0.56(0.37~0.85)であった。若年期の体力が後のCOVID-19の重症度と関連する可能性が示唆されている。(Af Geijerstam A, et al. bmj-2021)

イギリスのバイオバンクで参加者412,596名を対象とし、肥満、歩行速度とCOVID-19重症・死亡との関連を検討した研究では、2020年8月24日時点で、重症(院内)は1001例、死亡例は336例であった。正常体重の群と比較して、過体重および肥満群におけるCOVID-19の重症化のオッズ比は、それぞれ1.26(95%CI: 1.07-1.48)、1.49(1.25-1.79)であった。COVID-19による死亡のオッズ比はそれぞれ1.19(0.88-161)、1.82(1.33-2.49)であった。また、肥満の有無にかかわらず、歩行速度が遅い群のリスクが最も高かった。(Yates T, et al. Int J Obes. 2021)

ヨーロッパの高齢者3600名を対象として、筋力(握力)とCOVID-19による入院との関連を検討した研究では、握力は2004年〜2017年の間に握力計を用いて測定し、COVID-19による入院は2020年夏に自己申告により評価した。参加者3600名のうち、316人(8.8%)が陽性となり、83人(2.3%)がCOVID-19による入院をした。握力が高いほどCOVID-19による入院のリスクが低いことが示された[握力1SD増加あたりの調整オッズ比=0.64,95%CI=0.45~0.87,P=0.015]。(Cheval B, et al. 2021)

韓国成人76,395名の2018年1月1日~2019年12月31日の身体活動データを用いた観察研究では、身体活動基準を満たす成人では、満たしていない人よりも、新型コロナウイルスの感染リスク(相対リスク: 0.85, 95%信頼区間: 0.72-0.96)、重症化リスク(0.42, 0.19-0.91)、関連死リスク(0.24, 0.05-0.99)がいずれも有意に低かった。(Lee SW, et al.2021.)

国内の高齢者1600名を対象とした調査では、身体活動時間は、2020年1月(パンデミック前)と比較して、4月(第1波)では33.3%、8月(第2波)では28.3%、2021年1月(第3波)では40.0%、それぞれ減少していた。特に、独居かつ社会交流のない高齢者ではその減少幅が大きかった。また、独居かつ社会交流のない高齢者では、そうでない高齢者よりもフレイル発生リスクが2倍以上有意に高かった(オッズ比2.04)。(Yamada M, et al. 2021)

このところの、フィットネス業界では、9月10月と復調の兆しがかなり鮮明に出てきています。複数の大手フィットネスクラブの経営者や幹部にヒアリングしたところ、2021年の9月10月の新規会員の入会は、コロナ前の2019年の同月と比較しても、トントンか2021年の方が多くなっているというクラブが増えてきています。ただし、そこにはひとつポイントがあり、2021年の方が、2019年よりも広告宣伝費を多くかけている(130~150%)との経営者からの声を聞きました。また、フィットネスクラブの関係者が声をそろえて言っているのは、とにかく、クラブに来てもらうこと、足を運んでくれることに注力している、クラブに来てもらって安全だということを見てもらわないと始まらない!という声が多く、今までよりも、さらに敷居を低くして、「入会しなくてもいいからとにかく、来てみてください!!」と来館をしてもらうことに躍起になっています。

このことは、『フィットネスクラブは最高レベルの安全性を確保している』ということを理解してもらうための行動であり、昨年のフィットネスクラブからクラスター発生したというイメージを払拭するための業界を挙げての努力だと思います。

チラシのアピールポイント

  • とにかく、来館を促す!!!
  • 最高レベルの安全性
  • 運動は、コロナ感染リスクを下げ、ワクチンの効きをよくする。
  • ステイホームが長引いていることで、健康の二次被害が発生

よって、最高レベル安全を確保して、とにかくクラブに足を運んでいただき、積極的に身体活動を行うことで、免疫力が向上し、感染リスクを下げることができ、死亡リスクも低下させ、ワクチンの効きをよくすることができる。このことをフィットネスクラブでは、それを積極的にアピールして、会員のみならず、地域の方々にも、広く利用していただける環境を作っていく必要性を強く感じます。

※1. COVID-19: Hands, face, space, fresh air … and exercise! The missing intervention to reduce disease burden COVID-19: Hands, face, space, fresh air… and exercise! The missing intervention to reduce disease burden、A Tumi, H Khan, S Awan, K Ikonomou, K Ali, K Frain… – BJGP open, 2021

※2.  Physical inactivity and health inequality during coronavirus: a novel opportunity or total lockdown?  Shur NF, et al. BMJ Open Sp Ex Med 2020;09

※3. Chastin SFM, et al. Effects of Regular Physical Activity on the Immune System, Vaccination and Risk of Community-Acquired Infectious Disease in the General Population: Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2021;5

 

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