最近のフィットネスクラブでの、会員募集のチラシ折込の反応が落ちているという話をよく聞きます。
とにかくクラブに足を運ばせようとあの手この手で、ノベルティをつけてPRをしています。
また、最近は都度利用ができる会員や、時間や曜日制限を設けた多種多様な会員区分を設定したり、入会率を上げるために、ベテランのスタッフが担当することで、体験者もサービス満点で手厚く指導され、これならなんとなくやれそうだということで、お客様の入会につながります。入会当初はやる気もあり、もの珍しさも手伝って週に2~3回利用します。クラブ側も最初はオリエンテーションを行ったり、マシーンの使い方や個別のメニューを作成したりします。しかしその後は個人の自主性に任せられ、個人の意欲で続けていかなければなりません。
意識が高く、はっきりとした目的を持ってトレーニングしている会員は続きますが、かなりの人は一ヶ月目は週2 ~3回、二ヶ月目は週1~2回、三ヶ月目は月に2~3回、四ヶ月目は月1~2回、五、六ヶ月目には利用がなく、退会というような流れのパターンに陥ります。
退会届が、フロントに出てきたところで、マネージャーやフロントのスタッフがあわてて、退会を思いとどまるように接客をして引き留めるべく、手厚く対応するケースが多くみられます。ただ、会員の方にしてみれば、退会届を書いて実際には、もうやめた気になっているので、なかなか退会をストップするのは、難しい現状です。
グラフ1 入会月からの退会までの月数と退会率の例
以前より、早期の会員定着が大切だという事を本誌で何度か記載させていただいております。
既存クラブの退会者の例を見ても、入会から5~6か月での退会率が最も高く、この時期より前にフォローアップをすることが不可欠です。(グラフ1)
通常は 利用率の低い人 をピックアップして DMを出したり 電話をしたりして フォローにつとめています。 しかし 1~2ヶ月間0回が続いてしまうと そこからのDMや電話をしても 未来館の時期が 3ヶ月近くになっている場合も多く、かなりクラブから脚が遠のいている状況です。そのひとに連絡を入れると 気持ちが離れてしまっている場合が多くややもすると、電話が退会するためのきっかけになってしまい、結果的には 退会を促進することにもなりかねません。本来は 入会時に、入会の目的や達成するための方法について、できるだけ詳しく 具体的にプログラムを作成するのが通常ですが、その折に週間スケジュールを 作成することが不可欠です。(表1)
「一週間のうち クラブにこられる人は何曜日ですか」などと聞いて、こられる曜日と時間を 確認します。
会員の中には 「私は暇だからいつでも来られます」とおっしゃる方がいますが、よくよく聞くと曜日ごとにはこれない日も多く 「火曜日の午後は何してますか」と聞くと 「火曜日はパートをしているので来られません」、「それでは 木曜日はどうですか」と聞くと 「木曜日はおじいちゃんをデイサービスに連れて行っているのでこられません」、「土曜日 日曜日はどうですか」と聞くと 「子供のスポーツ少年団に 行くことが多いから こられません。」の返事が返ってきます。
意外にこられない日が多く 確実に来られる日は、月曜日の午前中と 水曜日の午後 それと金曜日の夕方だと分かります。よって 「月曜日 午前中10時に来る、水曜日の午後2時 それと金曜日 を確実に来るようにしましょうね」、と週間スケジュールを こちらで作成してさしあげます。こられる曜日と 時間を確認して その日が フィットネスデイであることを強く認識してもらうことが大切です。「いつも来られる」は、「いつもこられない」と言っていると思ってください。
週間スケジュールが決まったら、その通りに来て頂くように カウンセリングで 意識づけをして 「その時間には 私が待っていますので 必ず来てください」と約束を取り付けます。それで入会から8回は予約して来て頂きます。 そこで習慣が出来る人は良いのですが、なかなか継続して来られない方が出てきます。
表1.体験入会時のカウンセリングの中での週間スケジュール作成
表2を見てください 4月に入会した方が 4月何日来たか、5月は何日来たかをまとめた 会員定着表です。
これを見ると、一目瞭然で 定着しているかどうかが分かります。
表2では、会員番号1635番と1637番が、会員定着の欄が、4月×、5月×です。これは、4月5月は、定着できていないことを表しています。
大切なのは 予定していた週間スケジュール通りに 着ているかどうかということです。 多少日数に変化は あっても 決めていた曜日の時間に来ていれば、かなり定着している可能性が高いです。退会する可能性が高い人(退会予備群)を予測するのです。入会から1~6か月 の当初の利用状況を見て、定着しているかどうかが分かりますので その状況を 注意深く見て、退会を予測してその人々に集中的にフォローします。
そうすれば かなり 退会者を減らす効果が高いです。是非皆さんのクラブでも実践されることをおすすめします。
私は、入会の時点で、退会者を予測することができないかの研究を現在進めております。このことが、可能になるとさらに、会員定着の精度は上がっていくものと期待しております。
表2 会員定着表